Acacia catechu WILLD, Gambir カテキュー、ペグノキ
インド、タイ、ビルマの乾燥した山岳地帯に生えるマメ科の落葉中高木。6月から次の年の1月の間に伐採した心材や枝を細かいチップ状にする。これを土製の壷で水煮し濃縮してこのエキスを木製バットで冷却し乾燥する。これをキューブ状の塊に割り、流通する。心材からは、10%以上の水性エキスが取れるという。
漢方薬としては、止血、消炎、整腸の薬効として重要で、古くから我々がお世話になっている正露丸の原料に使われているそうだ。また口腔の清涼剤としての効果もあって、仁丹にも入っているそうだ。インドでは、食後の嗜好品であるパーン(キンマ)には必ず入れる。パーンの葉に石灰を塗り、ビンロウジ(檳榔子)とこのアセンヤクノキ(Khair, Katha)の樹脂を少量入れ、これに好みでスパイスやミント、氷砂糖のかけらなどを加える。噛みながら口の中はアセンヤクノキと石灰が反応して真っ赤になる。パーンを噛と、何故かすっきりする。唾液を出してしまい、過食を防ぐということと、食べた食物の消化促進の効果があると言われている。
染をする人は、カテキューの名の方が馴染みがあると思う。タンニンを多く含んでいて、明礬媒染で赤茶。鉄で焦げ茶色が染まる。しっかり染まり、堅牢性がある。民間では、皮や、船の帆、魚網を強く保つ為に染めに用いられるている。腐敗防止の効果があると言われる。アセンヤクノキで染めた布は、植物の持つ優しいぬくもりと強さがあり、時と共に着手になじんだ味わいが出てくるのが不思議だ。