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モスリンについて

イラクの都市モスールで織られた、またはそこに集積され、輸出された平織の綿布を、イギリスでモスリンと呼んでいたということです。ひじょうに繊細で滑らかな肌触りのその平織の布は、王侯貴族の間でもてはやされ、マリ―アントワネットのペチコートにも使われていました。

インドでは、ダッカ(今日のバングラデシュ首都)周辺の都市や、ムルシダバード県(インド西ベンガル州)周辺で織られていた超極薄の綿布をモスリンと呼び、土地ごとにその繊細さを誇るさまざまな名前のモスリンが織られていました。マルマルカーシュという名のモスリンなどは、一 枚のサリーを指輪に楽に通す事ができるほどの薄さだったということです。18世紀半ばから19世紀初頭の産業革命以降、英国産の機械織の綿布に押され、大変な手間と技術を要する手織りのモスリンの生産は長らく途絶えていましたが、近年細々ながら生産が再現されるようになりました。王侯貴族たちが求めたあの軽やかな着心地を味わうことができるよう、私たちも努力しています。(写真:モスリン200カウント羽織もの アップリケカンタ)