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タッサーシルクと極細綿の強撚糸

丸くなった強撚糸のかせ
丸くなった強撚糸のかせ
マリモのように丸まる強撚糸
150番手の手紡ぎ綿糸を紡ぐ際に、極端に糸をかせから外すと、縮んでマリモのように強くねじりをかけて紡いでもらいました。 一本どり,または二本どりにして捻りをかけた丸くなります。その糸をタッサーを経糸として平織りにし、水通しすると、とても面白いしわの布が出来上がりました。
強撚糸の布
強撚糸の布
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蓮染め

蓮染めタッサージャケット
蓮染めタッサージャケット
インドの工房の向かいには、カマバアカシヤに囲まれた静寂な池があり、そこには蓮が生い茂っています。冬にはカモやカワセミがやって来ます。工房ではこの池を借りて稚魚を放ち、蓮を大切にしています。以前はグウシを紡ぐことも可能でしたが、この頃は、なかなか紡いでもらえなくなりました。数年前から春から秋に、この葉で蓮染をしています。タッサーや綿糸が、深みのある黄色から緑に染まります。春、秋、晩秋とそれぞれ発色が違うのも面白いです。堅牢でとても上品な色味に染まります。もちろん夏には蓮の花が池いっぱいに咲きこれを見るのがいちばん楽しみです。
インドの工房の蓮池
インドの工房の蓮池
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ラックカイガラムシ

ラックカイガラムシLaccifer lacca【臙脂虫】ラック, Lack, 現地語=ラー、ラークシャー、ラッカ、クリムダナ
ラックはハナモツヤクノキ、イヌナツメなどに寄生するカイガラムシが分泌する樹脂状の物質です。虫自らが身を守るために分泌したその硬い殻は赤い色素を含んでいて、煮出すと色素が溶け出て、後に琥珀色の樹脂シェラックが残ります。 かつてイギリス(東インド会社)に支配されていた東インドでは、このラックが大量に生産されていました。染料としてよりもむしろシェラック樹脂を採るために、ハナモツヤクノキの植林、ラックカイガラムシの繁殖、養殖、採集、集積、ラックの精製、シェラックの製品までがすべて現地で行われていました。 シェラックは、イギリスにとってかつては重要な交易品目の一つでした。大航海時代には大きな船の船舶の塗料として、またあのイギリス王室の威厳ある臙脂色の馬車や家具もこの塗料で塗られていました。またヨーロッパ伝統の封印wax sealにはスティック状のシェラックスティックが用いられていて、インドでは今でも郵便小包や書留などの封印に同様のsealing wax(ガラ)が使われています。

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アセンヤクノキ 阿仙薬の樹

カテキュー染めジャケットAcacia catechu WILLD, Gambir カテキュー、ペグノキ
インド、タイ、ビルマの乾燥した山岳地帯に生えるマメ科の落葉中高木。6月から次の年の1月の間に伐採した心材や枝を細かいチップ状にする。これを土製の壷で水煮し濃縮してこのエキスを木製バットで冷却し乾燥する。これをキューブ状の塊に割り、流通する。心材からは、10%以上の水性エキスが取れるという。
漢方薬としては、止血、消炎、整腸の薬効として重要で、古くから我々がお世話になっている正露丸の原料に使われているそうだ。また口腔の清涼剤としての効果もあって、仁丹にも入っているそうだ。インドでは、食後の嗜好品であるパーン(キンマ)には必ず入れる。パーンの葉に石灰を塗り、ビンロウジ(檳榔子)とこのアセンヤクノキ(Khair, Katha)の樹脂を少量入れ、これに好みでスパイスやミント、氷砂糖のかけらなどを加える。噛みながら口の中はアセンヤクノキと石灰が反応して真っ赤になる。パーンを噛と、何故かすっきりする。唾液を出してしまい、過食を防ぐということと、食べた食物の消化促進の効果があると言われている。
染をする人は、カテキューの名の方が馴染みがあると思う。タンニンを多く含んでいて、明礬媒染で赤茶。鉄で焦げ茶色が染まる。しっかり染まり、堅牢性がある。民間では、皮や、船の帆、魚網を強く保つ為に染めに用いられるている。腐敗防止の効果があると言われる。アセンヤクノキで染めた布は、植物の持つ優しいぬくもりと強さがあり、時と共に着手になじんだ味わいが出てくるのが不思議だ。

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モスリン300カウント前開きピンタックボレロ

モスリン300カウント前開きピンタックボレロ250カウントの極細糸で布を織る職人さえ少ない今日、300カウントの手紡ぎの超極細綿布は希少です。暑い国インドならではの伝統的な極上の手紡手織り綿は、この上なく涼しく滑らかで、他に比べようがありません。
(モスリンについての詳しくは、ぜひこちらをご覧下さい)

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サンヘンプ

サンヘンプジャケットSann Hemp マメ科
サンヘンプは、インド-アジア南部原産の一年草で、高さは人の背丈くらい。葉は三枚の小葉からなる複葉で、枝分かれが少ない茎を真っすぐに立て、秋に茎や枝の頂に美しい黄色の蝶形花を総状花序に付けます。日本では、土に酸素を取り込む緑肥作用の植物として知られています。茎からは丈夫な繊維が取れ、インドの村では、ヤギや牛など、家畜をつなぐロープを作ったりします。サンヘンプで作ったりロープはつながれた家畜の首を傷つけることがないので、ほかの繊維で作ったロープより重宝がられています。ベンガル人の友人のアニスルさんの仲間が布に織ってみました。亜麻とジュートの中間のような手触りで、涼しげなパンツ、シャツ、ジャケットができました。

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サンタルポト

サンタル絵巻-インドベンガル地方
この無垢であどけなく、原初の生命感にあふれた生きものたちの図は、サンタル・ポテゥアと呼ばれる不思議な絵師たちによって描かれたものです。彼らは、インドの西ベンガル州からジャールカンド州にかけて広がる沙羅双樹の森の近くに住んでいます。自分たちはベンガル語を母語としながら、同地方に住むサンタル部族民の言葉を上手に話し、サンタル人の神話を絵巻物にして絵解きをして歩くのを代々の生業としています。森の住民である彼らが描く身近な同居人の動物や鳥たちは、みな尊厳に満ち、愛らしく、描かれます。この絵をみていると、彼らの住む森(ジャングル)に引き込まれてしまいます。

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カーディーのブラウス

カーディーのブラウスカーディー, Khadi, khaddar 手紡手織綿布
ヒンディー語で手紡ぎ手織りの綿布をカ-ディ-と呼んでいる。もともと綿の生産地であったインドは、英国の支配下、綿を栽培する農民でさえ英国産の機械織綿布を着用するに至った。だが1909年ころ、インドの自治と農村手工芸の発展を推奨したガンディーは、英国に対抗して自国産の手紡ぎ手織り綿布を着用することを呼びかけた。そんなわけでカーディーはインド独立の象徴の布となったが、実際に手で紡がれ織られた布たちは、母の懐のようにやわらかく、暑い夏に涼しい。近年あらためてその素材感と着心地の良さが見直されている。(写真は千葉の工房にて)

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ラックカイガラムシ染め

ラック染めブラウス
ラックカイガラムシ染めのブラウス

春色スカーフ
春色スカーフ

ラックは、サンスクリット語で10万と言う意味で、数え切れないほどたくさんと言うところから呼ばれたようだ。ラックカイガラムシは、ハナモツヤクノキ、イヌナツメやビルマネムなどの樹の枝先に包むようにびっしりくっつき、樹脂を吸い取る。インド、ラダック、中国南部、東南アジアで採れる。インドでは古代から布の染色、画用染料、塗料、装身具(腕輪)、封印用の樹脂として採取されていた。 染色では、濃く染めれば臙脂色、淡ければ青みがかったったピンク、桜色に染まる。南米のカイガラムシ、コチニ-ルには青味がなくスカーレット色をしているので、この二種類のカイガラムシの色合いは確かに違う。画用としては、油彩絵の具のレーキー(Lack Lake ラックレーキー)は、この色を素にしていた。インドでは細密画(ミニアチュール)に良く使われ、伝統の画家たちはクリムダナと呼んでいた。石灰下地の上に濃く塗って紫がかった赤、薄く塗ってやはり青みのピンク色になる。ラックカイガラムシを煮出して染料を抽出した後に残る樹脂がシェラック(Shellac)で、塗料になる。これを何度も塗り重ねて高級家具や英国王室の馬車が艶やかな臙脂色に仕上げられた。 江戸時代、日本には友禅などの染用及び画用として、主に中国から輸入されていたようだ。円形の綿に染ませて乾燥させた臙脂綿が、東京根津の日本画材屋さん、得応軒に今も残されている。数年前に大江戸博物館で催された円山応挙の展覧会では、画箱が展示されていた。応挙が日常的にに使っていた岩絵の具、泥絵の具の中に、確かに臙脂綿があった。臙脂色とはまさにこの色を濃く染めた色のことを言うのではないだろうか。小学校のころ使っいた水彩絵の具のエンジ色はあまり好きではなかったが、このラックカイガラムシの臙脂色は心から美しいと思う。
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ガープ染め

ガープ染めインドのベンガル地方にも柿はありました。直径4~5センチメートルの小さな柿で、全体がビロードのような茶色い毛でおおわれています。ベンガル地方では、ガーブと呼んでいました。子供たちが、熟れた実を食べたりしていましたが、渋くてあまり美味しいとはいえません。この柿には、ベンガルガキの和名があてられています。私たちの工房があるムルシダバードの古い城下町では、食べるよりは、渋い未熟の実から柿渋をつくって、魚網を丈夫にするために使われていましたが、今ではそれも、ナイロンの網の出現で、ほとんど使われなくなってしまいました。
私たちは、そのガーブの未熟果の柿渋をつかって、布を染めてみました。早く乾いていくところに染料が寄って、面白い濃淡ができ、また、タッサー(インド山繭)などでは、布になんともいえない光沢と張りが出ました。