丸々と太ったタッサーのイモムシが、人の背丈よりちょっと高めに仕立てられたアルジュンの枝先にとまって、数枚の葉をたぐり寄せ、繭づくりに取りかかっていた。きれいな緑色をしたその巨大な幼虫は、イモムシが嫌いな私にも、可愛らしいく思われた。タッサーシルクは、お蚕さんのように、運ばれた葉を食べて、家の中で大きくなるのではなく、青空の下で木の枝に放し飼いにされる。自由な空気が、満喫できる分、鳥などについばまれる危険性も大きく、人が棒を持って、鳥追いの番をしていなければならない。わがままな幼虫である。
繭をつくるのは冬と雨季の二回。その糸は、インドの強烈な紫外線から幼虫を守るUVカットの効果を持っており、また高温湿潤な雨季にもむれないよう通気性の良い多穴質の構造になっている。












インドの山繭は主にタッサーが知られていますがそれよりはるかに生産が少なく、貴重なのがアッサム地方の繭“ムガ”です。
古くなったサリーや男性が腰に巻くドゥティを数枚合わせてちくちくと刺したものをベンガル語でカンタといいます。一昔まえまでは、どの家でも寝るときに敷くものや掛けるものはほとんどみなカンタでした。ふだん使うカンタは粗い目で刺されていて、模様もありませんが、客用や、娘が嫁ぎ先にもっていくようなカンタには布地全体がさざ波だつほど細かく刺されていてきれいな模様がほどこされています。こうした模様のあるカンタをノクシ・カンタ(飾りカンタ)と呼んでいます。また新しく生まれてきた赤ちゃんのために送られるカンタはシュシュニ・カンタと呼ばれ、赤ちゃんの幸福を願って夢のある愛らしい模様が施されています。このごろでは、インドの村の生活も忙しくなってきて、限りなく時間のかかるカンタを刺す女の人は少なくなってしまいました。アナンダ工房では、この伝統的なベンガルのカンタを私達が身近に楽しめる様アレンジしました。