今年の、茜染めは大成功。二日かけてとても美しい色に染まりました。
縫製職人ショスティさん
ショスティさんは布の魔術師。日本人も顔負けの几帳面な縫製職人で、私たちが織りあげたどんな布でもカッチリ、キチンと仕上げてくれます。それもそのはず、彼は伝統織師の家で育ち、幼い頃からモスリン、ジャムダニ、カーディーなどの布に囲まれて育ち、手織布の性質を熟知しているのです。彼は、私たちがデザインした服を相談しながらひとつひとつ丁寧に作っています。それらの服は、彼のヒューマニティが伝わるぬくもりある作品になっています。
オリジナルジャケットのボタンについて
アナンダ工房のジャケットのボタンはみなオリジナルの手彫りです。服に合ったボタンをビポットさんが一つずつ作っています。ボタンホールは解け難い手かがり、ボタン付けもぐるぐる巻きにせずループにしてしっかりとかがり付けています。
プンノ織り
神田須田町店正面の銅の装飾
*2012年3月、アナンダ工房の神田須田町店がオープン。近くには、神田藪蕎麦、アンコウ料理の伊勢源、鳥すきのぼたん、甘味処のたけ村など、食通の間で知られた老舗があり、神田老舗街と呼ばれる地域の中です。建物は関東大震災後、東京再生の時期、昭和3年建造の銅張りの看板建築です。当時、類焼を防ぐ意味で東京周辺の繁華街で流行った建築方法で、パレットと呼ばれる看板が正面上部に付いています。内部に使われている梁も太く、まだまだ健在です。友人の腕の良い大工の棟梁、石原さんと一緒に、時間をかけて改装しました。
外装は、元々の銅張りを生かして銅で装飾を加えました。対のライオン、ミナール、チャックラ、花びらなどは、私達がデザインして、インド西ベンガルの知り合いの銅工、Haru Korrmokal さんに打ち出してもらいました。東京のオアシス的な場所になればと、願っています。どうぞお出かけください。
墨染め
和墨を濃くといて何度かムラなく染めます。染めるのはさほど難しくはないのですが、洗うのが大変なのです。布を傷めないように思いやりながら、もうこれ以上落ちないというところまで、根気良く洗います。しかし何度も何度も繰り返し洗っても色落ちが止まらず、あきらめようかと思い、嫌になってしまう頃、不思議にピタッと色落ちが止まる時が来るのです。干して仕上げると墨染のタッサーシルクは、布そのものの美しさを保ちながら、控え目な鈍色(にびいろ)に輝きます。これが染めの三昧なのでしょうか。
オリッサの村 -強撚り糸を探して-
藍の生葉染め
えんじ綿(臙脂綿)

昔から日本に運ばれていたラックカイガラムシの染料
この日の丸のように見える赤い物は、昔画材屋や染料屋で売られていたえんじ綿です。江戸時代に、南蛮船がインドまたは東南アジアから運んできたもので、戦前まで普通に流通していたようです。日本画のえんじ色を描くには重要な天然の染料でした。また、加賀友禅の挿し色にはなくてはならない色でした。小さくちぎって絵皿に入れ、水またはぬるま湯を加えると色が出てきます。画用には、膠等のメディウムはいらず、加える場合でもほんの微量で十分です。濃く出して臙脂色。薄く出して青味のあるピンク。染めの場合は、布をあまりよく洗うと色落ちしますが、絵の場合は、18世紀のインド細密画を見る限り変色もなく安定していると思います。日本にはないこの独特なラックカイガラムシのえんじ色は、どんな他の色にも代えがたい魅力的で、貴重な色だったことでしょう。







