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ベンガルのカンタ(刺し子)

ウールにカンタ
ウールにカンタ

カンタはもともとインドベンガル地方の家庭の女性の中で、日常の楽しみ、豊かさとして培われ、大切にされたものです。それは、まるで糸と針という簡単な道具で描く女性たちの芸術のようにで、色もモチーフも多彩、自由でおおらかです。日常のいろいろな規制があっても、あるいはそれがあればあるほど布の上で女性たちは自由に楽しみます。女性たちが、いかにその中で活きいきと集中するか、その楽しみが見るものにも伝わるのです。
多くの時間を費やした後できあがったこの布は、丈夫で何年も愛用され、修復されながらもボロボロになるまで使い果たされます。優れたものが現在にあまり残されていないのもそれゆえのように思われます。刺繍に使われる糸は、本来サリーのボーダーにある色糸を抜いて刺繍糸にしていましたが、今ではどんな奥地の田舎でも色とりどりの刺繍糸が塩やスパイスと共に雑貨屋で売られています。
*カンタについて以前書いたものはこちら