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ベンガルのモスリン綿

モスリンは、日本では和服に用いられた薄手のウールとして知られていますが、元々この言葉は、西洋の人々がイラクのモスルの極細綿布をさして呼んだのが始まりのようです。

ヨーロッパによるインド航路発見行以降、ベンガルの極細綿はモスリンの名で17世紀初頭頃からに世界各地に運ばれ、絶賛されました。マリーアントワネットもこのモスリンのペチコートドレスを愛用していたようです。

インドの木綿の歴史は古くこれより遥か昔、仏がカーシー(バラナシー)の上質な薄い綿の衣を好んでいたことが仏典に書かれています。このことが、紀元前5世紀にはすでに細かい綿布が、モスリンと呼ばれる前にインドで作られていたことを物語っています。

現在インド・ベンガルの織師は、手紡ぎ手織り綿(カーディー)の中で150番手以上の極細綿布をモスリンと呼んでいます。それは、機械織りの薄い綿布とは確かに違って、この上なく綿密、滑らかで、まるでミルクのような優しい感触です。