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縫製職人ショスティさん

ショスティさんは布の魔術師。日本人も顔負けの几帳面な縫製職人で、私たちが織りあげたどんな布でもカッチリ、キチンと仕上げてくれます。それもそのはず、彼は伝統織師の家で育ち、幼い頃からモスリン、ジャムダニ、カーディーなどの布に囲まれて育ち、手織布の性質を熟知しているのです。彼は、私たちがデザインした服を相談しながらひとつひとつ丁寧に作っています。それらの服は、彼のヒューマニティが伝わるぬくもりある作品になっています。

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オリジナルジャケットのボタンについて

アナンダ工房のジャケットのボタンはみなオリジナルの手彫りです。服に合ったボタンをビポットさんが一つずつ作っています。ボタンホールは解け難い手かがり、ボタン付けもぐるぐる巻きにせずループにしてしっかりとかがり付けています。

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プンノ織り

プンノさんプンノさんは、私達のインドの工房で布を織ってくれる織師です。織師の家に生まれ、技術、丁寧さは神業。彼との付き合いは、かれこれ15年、彼が青年の頃からです。初めてその仕事を見た時、真剣な取り組みように心打たれ、私達も彼の腕に見合った仕事をしなければという責任感の様なものを感じました。直樹が藍や茜で染めた糸を、彼といっしょに整経し横糸を決めて行きます。こうして出来上がった布は日本にもインドにもない独特な「アナンダ工房のオリジナル織」になっています。

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墨染め

墨染め

和墨を濃くといて何度かムラなく染めます。染めるのはさほど難しくはないのですが、洗うのが大変なのです。布を傷めないように思いやりながら、もうこれ以上落ちないというところまで、根気良く洗います。しかし何度も何度も繰り返し洗っても色落ちが止まらず、あきらめようかと思い、嫌になってしまう頃、不思議にピタッと色落ちが止まる時が来るのです。干して仕上げると墨染のタッサーシルクは、布そのものの美しさを保ちながら、控え目な鈍色(にびいろ)に輝きます。これが染めの三昧なのでしょうか。

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オリッサの村 -強撚り糸を探して-

強撚糸を紡ぐ
強撚糸を紡ぐ
オリッサの強撚糸
オリッサの強撚糸
2010年の制作は、オリッサから始まりました。今年の魅力的な素材を織るために、以前少しだけ手に入れたタッサーの荒い外側部分を強く捻った糸を求めてオリッサに来ました。 しかし、これが寒くてきつい旅でになりました。インドの冬を甘く見ていたのかもしれません。暖房器具の整っていないインドの冬は、服で加減するか、我慢するしかなく、二等寝台と乗り合いバスの二晩夜行の旅は前もって知っていれば行かなかったかもしれません。それでもこの粗野な糸の魅力には、たとえ困難を知っていても決行させてしまう力がありました。主人は二日続きの厳寒の夜の旅に体調をくずし、着いた村の日向でとうとう寝込んでしまいました。村の人々が暖かく、優しかったのは何より嬉しかったです。その後近くの安宿で休養をとり、今度は昼の列車でコルカタに帰ってきました。
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藍の生葉染め

藍の生葉染め昨年の春に芽出しをしたリュウキュウ藍はこの冬背丈より大きく育ちました。花が咲き種もつけています。葉が余りバサバサとするので刈リ払い、その葉っぱで3枚のタッサースカーフを染めてみました。オリジナル織りのタッサーシルクスカーフが、とても品のあるターコイズブルーに染まりました。

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染・織の面白さ

オリジナル手織りブラウス
オリジナル手織りブラウス(キアイ、インドアカネ、蓮先染め)

いろいろな植物で染めるのは楽しい。古くから使われるキアイやインドアカネはもちろん、池に浮かぶ蓮やガガブタなどの水草でも良い色が染まる。また染めた糸を経と緯に織り重ねる時も、少量の試し織りと長い反物とでは表情が違い、出来上がるまで、いつもわくわくはらはらさせられる。

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ベンガルのカンタ(刺し子)

ウールにカンタ
ウールにカンタ

カンタはもともとインドベンガル地方の家庭の女性の中で、日常の楽しみ、豊かさとして培われ、大切にされたものです。それは、まるで糸と針という簡単な道具で描く女性たちの芸術のようにで、色もモチーフも多彩、自由でおおらかです。日常のいろいろな規制があっても、あるいはそれがあればあるほど布の上で女性たちは自由に楽しみます。女性たちが、いかにその中で活きいきと集中するか、その楽しみが見るものにも伝わるのです。
多くの時間を費やした後できあがったこの布は、丈夫で何年も愛用され、修復されながらもボロボロになるまで使い果たされます。優れたものが現在にあまり残されていないのもそれゆえのように思われます。刺繍に使われる糸は、本来サリーのボーダーにある色糸を抜いて刺繍糸にしていましたが、今ではどんな奥地の田舎でも色とりどりの刺繍糸が塩やスパイスと共に雑貨屋で売られています。
*カンタについて以前書いたものはこちら

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インドアカネ

茜染めブラウス
茜染めブラウス

アカネ科 Rubia cordifolia L., Rubia manjista.
茜染料は、インダス文明、紀元前二千年の頃にはすでに糸を染める染料として用いられていたと言われています。茜染めの染方法は西北部インド周辺では古代から伝承され、その色は繊維がなくなるまで変わらないと言われるほど技術が高かったようです。この地方で用いられていた茜は主に二種類あると思われ、ヒマラヤ山麓の丘陵地帯、チョタナーグプルやスリランカの山岳地に自生する四葉のインドアカネ、またアフガニスタン、イランで採れる六葉のセイウヨウアカネが両方使われていたのではないかと思われます。
インドアカネは、根は太いひげ状をしていて、現在でも薬用として売られています。アナンダ工房は、この乾燥したインドアカネを用いています。染めるたびに色合いが異なりますが、毎回より美しい色が染まるよう苦心しています。美しい色を見ることはこの上なく幸せです。(図=直樹 文=由利子)

インドアカネ
インドアカネ

 

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アカネ染め

茜染めの様子
茜染めの様子
インドの工房でインド茜を染めています。どんな色が出るかドキドキ。染めている途中で、真っ赤なトンボが木の枝に止まって、応援してくれました。まずは強撚糸のスカーフと、ブラウス用の布地を染めてみました。水の具合、布地との相性、まだまだ改良の余地ありですが、毎回改良を重ねて、もっともっとよい色が染まるように頑張っています。今回の色は、黄色味が多いですが、秋らしいオレンジでしっかりと濃い色が染まりました。