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アヒルのコルミロタ

アヒルのコルミロタ

後ろのアヒルは6年前に私が買ったコルミロタです。家畜の市場で足を縛られ、衰弱して、もう覚悟はできているのか、目の白い幕を下ろしかけていました。友人のロシータが、アヒルを買おうと言うので、その時彼女は飛び切り元気な奴を、私はどうせ買うのならとグッタリとした奴を求めました。後で食べちゃうにせよ、ともかく直ぐにでも足の綱を解いてあげたかったのです。

家に持ち帰りるとシャントナは、アヒルの買い方を良く知っていて、(このインドのアヒルの飼い方にはとても感心しました。)慣れたやり方でアヒルを手なずけました。ともかく、コルミロタは初め水に浮かぶこともできず沈みかけたりするものの、何とか少しずつ元気になって、一緒に買った元気な奴や、近所のアヒル仲間と共に楽しく暮らせる様になりました。昼は列をなして池の小魚や藻を食べて遊んで、夜は小屋で卵を産みました。家畜といえども人権ならぬ、アヒルの生活を保って日々楽しそうです。

皮肉にも3年前にに一緒に買った元気な奴は病気で死に、コルミロタはこの様に今でも元気に日々を送っています。

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沙羅双樹の森

沙羅双樹の森

工房から少し離れたところに沙羅双樹の森があり、そこには山繭やハヌマーン猿、ジャッカル、ベンガルヤマネコ、蛇が住んでいるでいます。かつてはベンガル虎もいて、森の中の住人は矢や鉄砲を持っていないと住めなかったそうです。

沙羅双樹の森は木漏れ日のさす明るい森で、沙羅双樹以外の木は少ないのです。地面は白っぽい明るいオーカー色で乾いています。こんな森の樹の下で横たわったとしても、葉の隙間から青空が見えて悲壮感も、孤独感もありません。仏様は沙羅双樹の下で涅槃に入られたといいますが、こんな森の中だったのなら、樹を選ばずとも何処に横たわっても沙羅双樹の樹の下だったのでしょう。春、花の咲く頃に来て見たいものです。

森のどうぶつたち:アナンダ工房モスリン200カウント(綿)にカンタ手刺繍
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子牛の誕生

仔牛夜半にいつも静かな牛小屋から、雌牛の大きな鳴き声が何回も響きました。産まれたかなと思って行ってみると、すでにヘタリと子牛が横たわり、母牛がしきりに子牛をなめ回していました。

母親はなめながら興奮した様子で鼻息が荒く、小さな小屋で大きな仕事をやり終えた事が伺えました。産まれて一時間もしないうちに子牛は立ち上がり、ビポドにうながされて初乳を飲みました。この乳を飲む事が子牛と母牛にとって、とても大切な事なのだそうです。飲んだ後、子牛の舌がチョロっと出しっぱなしになっているのも可愛いらしい。

未だ自覚がおぼろげな感じがします。一体どうこの子牛が、この雌牛の腹の中に入っていたのでしょう。私たちの目前で母親に息を吹き込まれたかの様です。この世に出て間もないのに驚くほど大きく立派な雌牛です。ひとしきりなめられた後は、体全体が輝く様に美しくなりました。

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食虫植物クルマバモウセンゴケ インドの短い冬に生きる

モウセンゴケ

工房の近くの荒地に、どんなに暑く乾いたときでも水の枯れないジョルナダンガ(台地の泉)という場所がある。そこで見つけたクルマバモウセンゴケ。葉の繊毛の先にキラキラ光るつゆをつけている。モウセンゴケの仲間は多年草が多いが、これは一年草。インドの短い冬の間だけで一生を終えるこの小さな食虫植物は、葉が丸く、見るからに愛くるしい。

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アダンの雄花は香り抜群

アダン刺し子のオーダーをした帰り道。道端に生えていたのをみつけた。葉を一枚取ろうとしたら、縁に生えている曲がったトゲに刺されてしまった。アダンの雄花は甘くやるせない香りがする。ヒンディー語でケワダ、ベンガル語でケオラと呼ばれ、雄花から作ったそういう名前の香水がヒンドゥー教の儀式の道具や材料を扱う店で売られているという。さっそく買いに行った。

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アルパナ 吉祥天の昇天2016

アルパナ

一年中で一番寒いポーシュ月が明日で終わります。昇天する吉祥天(ラクシュミー)にこれまでの感謝とこれから一年の幸福を祈って、いま少し女神に家に座ってもらうため、蓮座と足跡を描きます。工房の女の子たちは二十歳前にみな嫁いでしまったので、今年は私一人で描きました。工房と、皆の幸運を願って。

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マメガキ?

マメガキ?

工房の近くの田んぼ道を散歩していると 、ダルマタークルを祀った小さな社があった。取り囲んで生える茂みの木々に小さな柿のような実がなっている。調べてみると、やはり柿と同じカキノキ属のマメガキに似たDiosphyros montanaだった。実は食べられないらしいが、この実で柿渋を作ってみようかな。

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タッサーシルク、繭の冬越し

タッサーシルクの繭朝の散歩で、またタッサーシルクの繭を見つけた。ベンガルの冬は結構寒い。人は皆、毛糸の帽子や被り物をし厚着をしている。繭は鳥などの外敵から身を守るためか、衣のつもりか、目立たぬように葉っぱを巻き付けている。クル(イヌナツメ)の木にぶら下がって、じっと春を待つ姿はけなげだ。